基礎知識

高級腕時計の並行品と正規品の違い!それはオーバーホールにも影響?

最終更新日:2022.6.2

ロレックスやオメガといったスイスメイドの有名高級時計メーカーの時計を日本国内で購入しようとした場合には、その購入方法は「正規代理店」での「正規品」もしくは「並行輸入店」での「並行品」の2つの購入方法があります。

海外ブランドの高級腕時計の並行品に対する認識として「並行輸入品は怪しい…」「本物なのかな…」などといった感想を持たれる方も多いのかもしれません。ですが、「正規品」も「並行品」もコピー品は別として、この両者はまったく同じモノです。そこには、日本国内へ輸入される流通経路に違いがあります。

「正規品」と「並行品」の流通ルートの違い


海外ブランドの高級時計が日本国内へ輸入され、日本国内の「正規代理店」や「メーカー直営店」での販売なるのか、もしくは「並行輸入店」で販売されるのかは、その時計の流通ルートの違いがそのまま販売店の違いに反映されます。

正規品の流通ルート

海外時計メーカー → 正規輸入代理店(国内) → 正規販売店

並行品の流通ルート

海外時計メーカー → 海外(正規)小売店 → 並行輸入業者(国内) → 販売店

国内で販売される海外メーカーの高級時計は、そのほとんどが上記のようにその流通ルートに違いがあります。「並行品」は、正規品とまったく同じモノでありながら、正規品とは異なる別ルートで並行して輸入されることに大きな違いがあります。

正規品と呼ばれる時計は、海外の腕時計メーカーと正式に輸入・販売代理店契約を結んだ正規代理店、あるいはその腕時計メーカー自身が日本国内に現地法人を設立して運営する直営ブティックなどで販売される商品のことです。

一方の並行品と呼ばれる時計は、そのメーカーと正式な輸入・販売代理店契約を結んでいない企業などが、主に海外の正規販売店などから別ルートで独自に入手した「本物」を輸入したものとなります。

このように、日本における時計の並行輸入自体にはまったく違法性もなく、正当な輸入行為となります。また、コピー品でもありません。

正規品・並行品のメリットとデメリット

正規品のメリット

● 安心・安全
● 保証期間の延長

正規品のデメリット

● メーカーが定めた価格で販売
● 日本国内で販売が許されるモデルのみ

並行品のメリット

● 価格が安い
● 国内での正規販売がない限定品の販売も可能

並行品のデメリット

● 保証期間が短い場合がある
● メンテナンスに価格差が生じる場合がある

メーカーと正式に契約を結ばれた「正規品」は、メーカーが定めた価格での販売が行われていますが、それに見合った満足度が高い顧客対応とサービスで安心・安全です。また、国内のみに国際保証とは別に保証期間の延長を行うメーカーもあります。そして、しっかりとしたアフターサービスも充実しています。

ですが、その販売価格が定価ということもあって高額な販売価格が最大のデメリットともなり、そのモデルによっては日本での販売が行われないモデルが存在しています。

一方の「並行品」は何と言っても、その販売価格に最大のメリットがあります。「並行品」のほとんどが、海外の正規販売店舗を通じて買い付けされています。なので為替レートの影響があります。また海外での販売価格は、そもそも日本のそれとは違うこともあります。さらに、日本での販売がない限定モデルであっても販売することも可能となります。

しかし「並行品」の最大のデメリットが、その保証期間とアフターサービスに違いがあるメーカーが存在するということです。国内の正規品であれば、その購入時からメーカー保証が開始されますが、「並行品」のそれは並行輸入業者が海外の仕入れ先から購入した時点でスタートしているために、購入時期によってはメーカーの保証期間が「正規品」に比べて短くなっている場合がほとんどです。

また「正規品」と「並行品」とで、アフターサービスに大きく違いを持たせている時計メーカーもあります。このことが「並行品」購入の最大の障害となってしまう時計メーカーが存在しているということです。「正規品」を扱う正規代理店は、そのメーカーの知名度向上のために様々な負担をしています。

なので、メーカーがそういった正規代理店を保護し優遇することには一定の合理性もあるために、一概にこのことを持って「悪い」と決めつけることもできません。

正規品と並行品がオーバーホールに影響するのか?

ロレックスやスウォッチグループに属するオメガ等には「正規品」と「並行品」でのオーバーホール等のアフターサービスに違いはありません。その時計が本物であれば平等のサービスが提供されます。

一方で、「正規品」以外はオーバーホール等のアフターサービスを受け付けない時計メーカー、またはアフターサービスの受付は行うが、その価格に格差を設けている時計メーカーが存在しています。代表的なところでは次の時計メーカーがそれにあたります。

「並行品」のメンテナンスに格差をつけている時計メーカー

フランクミュラー・ブライトリング・タグホイヤー・ウブロ・ブルガリ・ゼニス

並行品へのメンテナンスの格差をつけている時計メーカーが複数存在しています。フランクミューラーに至っては、その受付自体も行っていません。また、ブライトリングでは「正規品」の100%UP、タグホイヤーでは30%UPの価格差を設けているメーカーもあります。

これらの時計メーカーは、そのメーカー独自の正規会員特典として、オーバーホール等の時計メンテナンスを割引という形をとっています。ですが、ロレック等の格差をつけていないメーカーと比較しても、そのメンテナンス価格が高額な設定のメーカーばかりです。

民間の時計修理専門店へ依頼する方が増えています

オーバーホール等の時計メンテナンスは、そのメーカーでなければならないということはありません。殆どの有名ブランドの機械式時計は、メーカー以外の時計修理専門店でオーバーホールを受けられます。また、メーカーによっては、このような外部の時計修理専門店と提携して外注していることもよくあります。

このような信頼と実績を兼ね備えた時計修理専門店では、多くの高級ブランドが採用しているETA社製の汎用ムーブメント含め、各時計メーカー独自のムーブメントであっても、機械式時計を熟知した時計技術者、または各メーカー出身技術者が適正価格でメンテナンスを行っているのが現状です。

「並行品」の受け付けすら行わないフランクミューラーや、格差を設けているブライトリングなどであっても問題無く修理やオーバーホールが行われています。一部の特殊なムーブメントを除いて、自社製・他社製ムーブメント問わず現行のモデルはほぼメーカー外でメンテナンスが可能なのです。

このような事もあって今では、多くの時計ユーザーが「正規品」「並行品」を問わず、また「メーカー」「民間」を問わず、その時計メンテナンスの依頼先を選択しているようです。

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