機械式時計を選ぶ際に何を基準にするかは、それぞれに違いがあるのではと思います。しかし、機械式時計は定期的なメンテナンスが必要不可欠です。なので、購入後のメンテナンスを考慮して選ぶ必要もあるでしょう。

この時計メンテナンスで最近の問題となっているのが、正規品と並行品との間でのメンテナンスの大幅な価格差です。時計メンテナンスでこの「並行差別」を行うブランドには1つの理由がるようです。

並行差別するブランドに共通する理由

● 自社ムーブメントを開発した

並行差別を行うブランドに共通する理由は1つです。並行差別を行う時計ブランドの代表として「ブライトリング」や「タグホイヤー」といった時計ブランドが有名ですが、これらの時計ブランドは近年自社開発のムーブメントを発表したことでも知られています。

ブライトリングは2009年にCal.01、タグホイヤーは2010年にCal.1887を発表していますが、それ以前はスイスのムーブメント製造メーカー「ETA」社のムーブメントを採用していました。

しかし、ETA社がオメガを代表するスウォッチグループの製造部門の傘下となったことで、スウォッチグループ以外へのムーブメントの供給をストップさせる意向を発表すると、資本力があるブランドは自社開発へと移行していきました。

機械式時計のムーブメントの開発と製造には莫大なコストと時間を必要とします。それは当然、商品価格に反映されることになります。また、社外への自社ムーブメントの部品供給をストップすることで、メンテナンス時の市場を独占することも可能となるでしょう。

そういった背景から、特に自社ムーブメント採用モデルは「並行差別」を行いやすい環境にあるのではと思います。とはいえ、ロレックスは針等も含めて全てを自社で製造していますが並行差別は行っていませんし、並行差別を行うのは一部の時計ブランドだということです。

汎用ムーブメントと自社ムーブメントはスマホと同じ

● android ・・・汎用ムーブメント
● iphone・・・・自社ムーブメント

並行差別を行う時計ブランドは自社ムーブメントで時計を製造している特徴がありますが、汎用ムーブメントも多くの時計ブランドや多くのモデルで使用されている現状があります。わかりやすい例えで言えばスマホのOSと良く似た環境だと言えるでしょう。

日本ではアップルのiphoneが人気ですが、世界的に見れば圧倒的にアンドロイドユーザーが多いようです。アップルのiosはアップルが製造しているiphoneのみに搭載されます。一方のAndroidは様々な国のメーカーやモデルに搭載されています。

時計のandroid OS版としてはスイスのETA社とセリタ社がそうです。元々スイスでは自社ムーブメントよりも汎用ムーブメントを利用して時計を製造するのが当たり前でした。1990年台には市場時計の80%はETA社の汎用ムーブメント搭載モデルばかりでした。

現在ではETA社がスウォッチグループ傘下となったこともありますが、それでも時計市場の30%以上はセリタ社の汎用ムーブメント搭載モデルです。またはETA社のムーブメントをカスタマイズして、自社ムーブメントとしている時計メーカーもあります。

さらには、セイコーのムーブメントをカスタマイズして自社ムーブメントとしているメーカーもあるようです。同じく、セイコーやシチズンのクォーツを利用してクォーツモデルを製造しているブランドが存在しているのが現状です。

なので自社ムーブメントといっても、元はETA社製のムーブメントのカスタマイズであったり、またはコピーであったりもするということです。逆を言えば、それだけ信頼性と精度の両面で優れたムーブメントだとも言えるでしょう。

そして時計メンテナンスの面でも、これらの汎用ムーブメントはメンテナンス性が高く部品入手も簡単です。一方の自社ムーブメントはこのメンテナンスが問題となるでしょう。

正規メンテナンスのみになれば毎回高額なメンテナンス費用の請求があるでしょう。また、ブランドによっては精度にバラツキもあるようです。

まとめ:並行差別は自社ムーブメントがキーワード

今回は、最近大きな問題となっているメンテナンス時の並行差別についてお伝えしてみました。この並行差別問題の1つには自社ムーブメントの存在があります。

汎用ムーブメントも自社ムーブメントもそれぞれに良し悪しがあります。なので、どちらが優れているというものでもないのかもしれません。

時計修理やオーバーホールといった時計メンテナンスは、その時計のムーブメントを知ることも大切です。なので、自身の時計購入やメンテナンス時には、その時計のムーブメントを1つの要素としてみても良いかもしれません。