最終更新日:2024.2.29
機械式時計でのオーバーホールの必要性は理解されていても、クォーツ時計でのオーバーホールの必要性は感じているでしょうか。オメガやタグ・ホイヤーに代表される高級クォーツ時計ユーザーの方にとっては、そのオーバーホールの問題は悩みどころかも知れません。
こちらのページでは、機械式時計では必然となるオーバーホールがクォーツ時計でも必要性なのか?また、オーバーホール料金やクォーツ時計の気をつけておきたい症状などについてもまとめています。
目次
【必要or不要】クォーツ時計のオーバーホール
クォーツ時計の動力源となるのは機械式時計のゼンマイとは違い、電池の力をその駆動源としています。なので、このクォーツ時計に対してオーバーホールは必要だと感じる人や、感じない人がいるようです。また、その感じ方も様々です。
必要派の意見
● 長く使いたい
● 針を動かす仕組みは同じ
機械式とクォーツの違いは、機械か電気かの違いだけで。針を回す仕組みは基本的に同じですよ。クォーツであっても、歯車があってそれが回転しているのです。クォーツの場合は、モータが強いので多少磨耗しても問題なく動いてしまうことが多いだけだと思います。
使い捨てるつもりなら良いでしょうが、長年使うつもりならば5年に1回程度はオーバーホールしたほうが寿命は伸びますし、トータルで考えれば出費は抑えられるのではないでしょうか。
クォーツ時計のオーバーホールは7〜8年に1回で良いのはないでしょうか。クォーツか機械式かは使う人の好みなので、やはり長く使いたいのならばオーバーホールは必要ですし、私は出しました。
不必要派の意見
● 電池交換すれば動くようになる
● 誤差が少ないから不具合に気づき難い
● 買い替えた方が得
私は、 2つのアナログ・クォーツ時計を持っていますが、一度もオーバーホールはしていません。しかし、どちらも正確に働きますよ。
機械式は、微妙な力具合で時間が狂うかも知れませんが、電気なら少々遅れてもモーターの力で「強引」に回すのだと思います。なので、クォーツ時計にオーバーホールが必要なのかはわかりません。
機械式や手巻き以外は、オーバーホールなども定期的に出さなくても、調子が悪くなってすれば大丈夫。クォーツだとそんなもんらしいですよ。
上記の口コミにもあるように、クォーツ時計のオーバーホールに対してはそれぞれの意見があるようです。
機械式の動力がゼンマイにあるのに対して、クォーツ時計は電気の力との違いがあります。しかし、最終的に針を動かすのは機械式であっても、クォーツであっても歯車を介して針は動いています。
機械式時計の場合はゼンマイの動きが重くなることで遅れなどの症状が現れてきますが、電気的なクォーツ時計ではこのような症状が現れ難いのかもしれません。
クォーツもオーバーホールの目的は同じ
機械式時計もクォーツ時計も、そのオーバーホールの目的は同じです。機械式時計とクォーツ時計は、動力となるゼンマイと電子回路の違いがありますが、最終的に針を動かすためには歯車が関与しています。
この歯車があるところには必ず軸受けがあります。この軸受けに注油された潤滑油は、機械式もクオーツも平等に劣化していきます。機械式ではわかりやすい油の劣化も、クォーツ時計のそれはわかり難いかもしれません。
機械式もクォーツも劣化した潤滑油を洗浄して、新たに注油することで、歯車の動きをなめらかに働かせる事ができます。オーバーホールの目的は、潤滑油の劣化による部品同士の摩耗を防ぎ、時計の精度を保つことにあります。
機械式とクォーツのオーバーホールの違い
● 費用が違う
● できない部品がある
機械式時計とクォーツ時計のオーバーホールの違いは大きく上記の2つがあるようです。まず、機械式時計とクォーツ時計のオーバーホールは料金が違いがあります。
一般的な機械式時計は100個以上の部品が使われていますが、クォーツ時計では60個ほどしかありません。この部品数の違いによってオーバーホール価格に違いが生まれます。分解組み立ての容易さの違いもあります。
機械式時計とは違いクォーツ時計ではオーバーホール出来ない部品が存在します。それが、クォーツ時計の動力源である電子回路です。電子回路に不具合がある個体は電子回路一式交換の必要があります。
但し、この電子回路は部品在庫が必ずあるとは言えず、最悪は修理不可となるクォーツ時計も少なくありません。クォーツ時計の歯車や機械部品のオーバーホールは出来ても、この電子回路がやられると修理不可となる場合がほとんどです。
なので、クォーツ時計であっても定期的なオーバーホールを行なって機械部分のメンテナンスをすることで、部品同士の摩擦や負担を軽減することで電子回路に余計な負荷を与えないこともクォーツ時計を末長く愛用するポイントとなります。
クォーツ時計オーバーホール価格
種別 | 時計修理店 | メーカー(例オメガ) |
---|---|---|
3針 | 12,000円~20,000円 | 47,000円~ |
クロノグラフ | 15,000円~25,000円 | 52,000円~ |
クォーツ時計のオーバーホールは、一部の高級ブランド以外は時計の症状にもよりますが、時計修理専門店への依頼が費用的にもオススメです。特に、海外ブランドのクォーツは一律での料金設定が行われている場合が多く、高額な価格設定が少なくありませんので比較してみるのが良いでしょう。
気をつけたいクォーツ時計の症状3つ
時間が遅れる
クォーツ時計で時間が遅れる場合のほとんどの原因は、IC回路や機械部分に不具合が生じている場合がそのほとんどです。その主な原因は、内部に細かいほこりが混入して歯車の動きを妨げたり、油切れにより駆動が重くなって起こる事がその多くの原因として考えられます。
この場合に重要な事は、そのまま止まってしまうまで放置しない事です。完全に止まっていなければ、オーバーホールまたは中のムーブメント(機械)ごと交換して修復することも可能となるからです。
クォーツ時計で時間が遅れる場合は、電池切れではなく内部に不具合が起こった場合に起こります。電池切れの場合には針飛びなどの現象がありますので、時間が遅れるような症状が現れたら早急な専門家への対応が求められます。
時間が進む
クォーツ時計において時間が進む症状が現れる主な原因は、IC回路の不具合や強い磁気を帯びたことなどによって引き起こされる場合はほとんどです。このような場合は、オーバーホールのほかにIC回路の交換が必要になることが多いです。
電池交換したのにすぐに止まってしまう
電池を交換したのに動かないということは、機械の内部にゴミが引っかかっている可能性がまずは疑われます。ゴミが原因で止まっているとすればオーバーホールが必要になってくるでしょう。
または、機械内部のIC回路が故障している場合はこのIC回路を交換する必要がありますが、部品としてIC回路を供給していないメーカーもありますので、そのような場合はこのIC回路を交換できないことが多く修理不可能ということになってしまいます。
まとめ:クォーツ時計も7〜8年毎のオーバーホール
機械式時計はすべてが機械部品で出来ていますので、部品交換によってすべてのトラブルの解消は可能です。しかし、クォーツ時計の場合は、電子回路がやられるとオシマイです。
オメガなどの高級クオーツの場合は、電子回路の交換に応じる場合もありますが、高額な請求を覚悟しなければいけません。なので、日頃からのメンテナンスがクォーツ時計にも必要です。
クォーツ時計は電気の力で針を動かすとはいえ、最終的に針を動かしているのは機械式と変わらず歯車によって動いています。潤滑油の劣化での歯車への負担がそのまま電子回路へのダメージとなるかもしれません。
そうならないためにも、メーカーや時計修理店が推奨する7〜8年位に一度のオーバーホールを行うことがオススメとなります。そうすることがクォーツ時計にも必要な対策となるのではと思います。
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