基礎知識

時計オーバーホールが初めてのあなたに教える5つのこと【初心者用】

最終更新日:2022.1.21

時計のオーバーホールと聞いて、多くの時計フリーク達は「時計メンテナンス」で最も大切な作業であることに気が付いていると思います。

一方で、初めての機械式時計を手に入れたり、高級クオーツ時計を手に入れたりして、そのメンテナンスの必要性や方法をご存知ない初心者の方も多くいらっしゃるようです。

そこで今回は、そんな時計メンテナンス初心者のあなたに、初めての時計オーバーホールを行う前に知っておくべきことを6つまとめてご紹介していきます。

時計オーバーホールが初めてのあなたに教える5つのこと!

時計オーバーホールの必要性を理解しよう!

高級時計の代名詞ともなっている「ロレックス」は、良く一生モノだと言われています。ですが、そこには定期的なメンテナンスがあってこそ一生モノとなるのであって、何のメンテナンスも行わななければロレックスであっても数年で、その動きを止めてしまうでしょう。

機械式時計はその名の通り、時計内部のすべての部品が機械式に動くことによって、針を進めて時刻を教えてくれます。この機械式時計に使用されている各歯車には、スムーズに駆動するために潤滑油が注油されています。

ですが、経年劣化によってこの潤滑油が乾くことで、歯車がスムーズに動かなくなってしまい、最終的には部品同士の摩擦が大きくなり部品の損傷など、その後の大きなトラブルを抱える原因ともなってしまいます。

このようなトラブルを避けるためには、定期的にムーブメント(時計内部)を開いて部品の洗浄や注油を行う必要がある訳です。このようなムーブメントの分解・洗浄・注油・組み立てを行って、最良な時計のコンディションを保つために必要な行為がオーバーホールと呼ばれる作業となります。

時計オーバーホール期間(間隔)を理解しよう!

時計オーバーホールは定期的に行うことが必要だということが理解できたと思います。では、このオーバーホールを定期的に行うその期間はどのくらいの年月を指していると思われるでしょうか。実は、多くの時計メーカーでは3~5年の頻度でオーバーホールを行うことが推奨されているようです。

ですが多くの場合は、その時計に何らかの変化を感じた時にオーバーホール依頼を行う時計ユーザーも少なくありません。その代表的な症状が時刻のズレです。この時刻のズレを引き起こす最大の原因は、各歯車に注油された潤滑油の乾きや劣化が引き起こしていると考えられています。この潤滑油の乾きや劣化が、最大5年程だということから3~5年が推奨されています。

理想はやはり3~5年の頻度で定期的にオーバーホールを行うことが良いのでしょうが、3年で何らかの症状が現れる時計もあれば、5年経っても何の問題も現れない時計もあるでしょう。ですが、そんな時計であっても5年毎にオーバーホールを行うものだと考えておきましょう。

時計オーバーホールの価格を理解しよう!

時計オーバーホールは安いモノではありません。メーカー依頼でのオーバーホール依頼と考えた場合には、そのメーカーによって違いがあるあるために一概には言えませんが、5~10万程度の出費を覚悟しなければなりません。

また時計メーカーの中には、正規品と並行品にオーバーホール価格の違いを設けているメーカーも少なくありません。たとえば航空時計で有名な「ブライトリング」では、正規品(国内の正規代理店購入)に対して並行品には100%upのオーバーホール価格が提示されます。

また、オーバーホール価格には交換部品が発生した場合の部品代は含まれませんので、さらに高額な出費も覚悟しなければならないということです。

時計オーバーホールは2つの選択肢があることを理解しよう!

時計オーバーホールは、そのメーカーのみが行うものではありません。メーカー以外にも優秀な時計修理専門店が今では多数存在しています。このような時計修理専門店では、メーカー出身の技術者や特定のメーカーやブランドに特化した技術者など、メーカー以上の経験と知識を持ち合わせた時計技術者が少なくありません。

そして、このような優秀な時計修理専門店は、あるメーカーのような正規品と並行品とで価格に違いを設けることもありません。また、メーカーと時計修理専門店ではオーバーホールの内容に違いはありません。行う作業はメーカーであっても時計修理専門店であっても同じ作業です。違うことはただ一つ、その価格に違いがあります。

優秀な時計修理専門店の多くで、メーカー価格の50~70%の価格でオーバーホールを行うことができるようです。時計オーバーホールを3~5年での頻度で行うことを考慮した場合には、このコストの差は明確な差となるでしょう。ただし、時計オーバーホールに安心感や信頼感を求める場合には、メーカーが最も推奨されるその依頼先となるかもしれません。

すべての時計修理専門店が同じではないことを理解しよう!

時計オーバーホールをメーカー以外での検討をした場合には、その時計修理専門店がすべて同じ品質・サービスではないことを理解する必要もあるでしょう。次にあげる3つの基準を満たす時計修理専門店でなければなりません。

● 交換部品は純正部品か?
● 優秀な時計技術者の在籍はあるか?
● 豊富な時計修理・オーバーホールの実績があるか?

上記3つで特に注意したいのが、その時計の純正部品の入手が困難な時計修理専門店であってはならないというこです。交換部品が発生した場合の交換部品は純正部品を用いて修理されなければなりません。純正部品の入手ルートが確立していない時計修理専門店への依頼は、最も最悪な結果を招きかねませんので注意しましょう。

優秀な時計修理専門店は、それぞれに得意なメーカーやブランドが存在するものです。それはすなわち、そういったメーカーやブランドに特化した時計技術者や、または得意としている時計技術者の在籍を示しています。

また優秀な時計修理専門店は必ず、自社で行った時計修理・オーバーホール実績を示す証拠画像等の提示があります。このような画像の提示は、その時計修理専門店の姿勢を示す大切な財産となるものです。そういった優秀な時計修理専門店を選びましょう。

まとめ:時計オーバーホールは定期的に行うものです!

時計オーバーホールは1回やって終わりではありません。定期的に行う必要があります。機械式時計はクオーツ時計のように、その動力源をモーターに頼っているわけではありません。

機械式時計には100点以上の部品が使われ、それぞれの部品には注油が行われています。これらの部品の精度を落とすことなく、正確に時刻を刻み続けるためにも定期的なオーバーホールが欠かせません。このことは、心臓部に電子部品が使われるクオーツ時計も、針を動かす歯車には注油されていますので同様に必須のメンテナンスとなります。

今回は時計オーバーホール初心者のあなたに、初めての時計オーバーホールを依頼する前に知ってもらいたいことをまとめてみました。こちらのページが、あなたの一生を共にすることが出来る時計のコンディション維持のための参考にされてみてはと思います。

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