最終更新日:2021.10.11
タグホイヤーはF1などのモータースポーツとの関わりが深く、数々のレーシング・クロノグラフを誕生させた時計ブランドとして多くのファンを惹きつけています。また、そのデザイン性から多くのビジネスマンにも愛用されているようです。
とはいえ、タグホイヤーも他のブランドウォッチ同様に、購入後のメンテナンスがその後のコンディションに大きく関わってきます。
こちらのページでは、その多くが「並行品」での購入となる時計ブランドの1つ「タグホイヤー」の正規メンテナンスでの「並行差別」や、その他タグホイヤーの正規オーバーホールについてまとめています。
目次
タグホイヤー正規オーバーホールは1,5倍の並行差別あり
タグホイヤーは日本国内のみに「エドワードクラブ」という会員サービスがあります。この「エドワードクラブ」は、タグホイヤー正規代理店で購入された正規購入者向けに案内されています。なので、非正規購入者では「エドワードクラブ」への入会ができません。
この「エドワードクラブ」非会員は、正規オーバーホールでは会員比1,5倍の価格の提示が行われます。また「エドワードクラブ」会員であれば、交換部品発生時の交換部品代が30%割引となります。
タグホイヤーの正規メンテナンスでは「正規品」と「並行品」の間では大きなメンテナンス価格差が存在します。さらに「並行品」ユーザーは交換部品の部品代の割引もありません。
時計ブランドの多くは一律に定期交換部品を定める場合が多いために、正規メンテナンスでは多くの交換部品が発生する場合が少なくありません。
なので、タグホイヤーの正規オーバーホールの価格を総合的に判断すれば、この「並行差別」の価格差は大きくなる傾向にあります。
タグホイヤー正規依頼方法2つとオーバーホール価格
● 正規販売店への持ち込み
● ピックアップサービス
タグホイヤーの正規メンテナンスは上記2つの依頼方法があります。最も一般的なタグホイヤー正規オーバーホールの依頼方法となるのが、タグホイヤー正規販売店への持ち込みとなります。但し、この場合は代理店取次費用がプラスされた請求価格となります。
タグホイヤーの正規販売店への持ち込みが困難な場合には、ピックアップサービスを利用しての依頼が良いでしょう。ピックアップサービスは、請求先に届く郵送パックに時計を納めて指定のサービスセンターへと郵送する方法となります。
但し、タグホイヤーのピックアップサービスは配送料金が依頼者の自己負担となってしまいます。
タグホイヤー正規オーバーホール価格と作業内容
種別 | 並行品 | 正規品 |
---|---|---|
クォーツ | 41,250円~59,400円 | 27,500円~39,600円 |
自動巻3針 | 57,750円~72,600円 | 38,500円~48,400円 |
クロノグラフ | 57,750円~94,050円 | 38,500円~62,700円 |
● 時計の真贋確認
● ケースとムーブメントの分離
● ケースの分解
● ケース及びブレスレットの洗浄(可能な場合)
● ムーブメントの分解あるいは交換
● ムーブメント部品の取り外し
● ムーブメントの洗浄
● ムーブメントの組み立て、注油、及び調整作業の過程で必要とされた部品の交換
● 電池交換(クォーツ時計)
● 外装部品の組み立て直し、防水性の復元(可能な場合)
● ケーシング
● タグホイヤー社既定による外観の最終検査
● タグホイヤー社既定による精度調整
● 防水性の復元(可能な場合)
タグホイヤーの正規オーバーホール価格は上記の通りですが、交換部品発生時には上記価格にプラスして部品代の請求が合わせて行われます。その際には「並行品」は割引適用外となっています。
タグホイヤーの正規オーバーホールは、「正規品」と「並行品」との間での「並行差別」が存在していますが、その作業内容に違いはありません。また、「正規品」「並行品」共に適切な部品の交換が行われますので、価格差以外の並行差別の存在はありません。
タグホイヤー正規オーバーホールでの注意点2つ
● ポリッシュはオプションサービス
● 保証期間は1年間(ヴィンテージは対象外)
タグホイヤーの正規オーバーホールは、他の時計ブランドでは一般的なサービスや保証に違いがあるようです。多くの時計ブランドが標準サービスとしているケースや、ブレスの外装部品の研磨サービスがタグホイヤーの正規オーバーホールでは標準サービスとなっていません。
これは、ロレックスやオメガのようにポリッシュを標準サービスにして、オーバーホール基本価格に含んでいるのとは対照的な作業内容となるようです。なので、ポリッシュを希望するユーザーは別途ポリッシュ費用が発生するということです。
次に、タグホイヤーの正規オーバーホールでの作業後の保証は1年間しかありません。これは、多くのスイスメイドの時計ブランドが標準としている「2年間」の半分の保証しかありません。さらに、ヴィンテージモデルは対象外となり、作業後の保証を受けることができません。
タグホイヤー正規オーバーホールの保証期間だけをとってみれば、時計修理専門店の一般的な保証期間との違いはないようです。さらには、ヴィンテージモデルであっても3ヶ月の保証を付ける時計修理専門店が多く存在することに比べ、正規オーバーホールの優位性を感じるタグホイヤーユーザーは少ないのかもしれません。
【自己防衛】タグホイヤー並行品ユーザーにできること
● タグホイヤーに特化した時計修理店で定期メンテナンスを行う
● オーバーホール頻度を上げて部品の消耗を防ぐ
● 自社ムーブモデルは部品交換時にのみ正規メンテナンスを利用する
タグホイヤーは販売価格の大きな違いも手伝って、並行品ユーザーの多い時計ブランドの1つとなっています。また、その価格差をメンテナンス価格に置き換えてみても、並行品が優位な時計ブランドの1つとなるようです。
そして、タグホイヤーの正規メンテナンス価格がシンプルに高額だと感じる並行品ユーザーが少なくありません。優位性を感じられない並行品ユーザーは、上記3つを参考にすることで約1,5倍の格差となる並行差別からの自己防衛ができるのではと思います。
タグホイヤーも他ブランド同様にオーバーホール間隔4〜6年を推奨していますが、この間隔を3〜4年として定期オーバーホールを行うことがオススメです。オーバーホール間隔を短く設定して部品の消耗を減らすことが最良の方法です。
そのためには、タグホイヤーに精通した時計修理店選びは必須です。また、定期オーバーホールを行うことで部品消耗のリスクを担保することが可能となります。そうすることが、結果的にコストを抑えることにも大きく役立つことになるはずです。
さらに重要なこととして、タグホイヤーのムーブメントが2種類存在することを理解しておくことです。タグホイヤーも他のブランド同様に自社開発のムーブメント、従来のETA等の汎用ムーブメントを搭載したモデルが存在します。
並行差別を行う時計ブランドに共通するのが自社ムーブメントの存在です。タグホイヤーも他の並行差別ブランド同様に、外部への自社ムーブメントの部品流通を行っていません。したがって、タグホイヤー自社ムーブメントの部品交換は、タグホイヤーのコンプリートサービスのみでの対応となります。
なので、タグホイヤー自社ムーブメントモデル並行品の部品交換発生時は、約1,5倍の並行差別を受け入れる必要が発生することになります。一方で、ETA等の世界中に流通される汎用ムーブメントモデルは、そのメンテナンス一切をメーカー以外で継続的に行うことが可能となるでしょう。
このように、タグホイヤーも含めて並行差別を行う時計ブランドとの上手な付き合い方は、そのブランドの正規メンテナンス依頼を最低限におさえるということなのかもしれません。
まとめ:タグホイヤーも状況に合わせて対処すれば良い
タグホイヤーの並行品ユーザーにとっての並行差別も、少なからず金銭的負担を強いられる理不尽な扱いだと感じるでしょう。しかし、その価格差は他の並行差別ブランドに比べれば小さなものなのかも知れません。とはいえ、シンプルに正規メンテナンスが高額な印象を受けるユーザーが少なくありません。
また、タグホイヤーは販売価格差がとても大きな時計ブランドの1つです。そして、その価格差を正規メンテナンス価格に置き換えても疑問を持たれるユーザーも多いのもまた事実です。
しかし、結局はタグホイヤーユーザーそれぞれの考え方によって、メンテナンスに対する考え方にも違いがあるということではないでしょうか。とはいえ、正規メンテナンスに約1,5倍の格差を設定しているタグホイヤーであっても、それぞれに対処すれば問題はないということです。
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