最終更新日:2023.5.27
オリンピックやF1、インディカーレースなど数々のスポーツとの関りから、スポーツウォッチとして有名なタグ・ホイヤー。またクリスティアーノ・ロナウドといった、多くの一流アスリートにも愛用されている一流ウォッチブランドとしても人気です。
特にF1の世界では故アイルトン・セナに愛され、レッドブル・レーシングにおいてはルノー製パワーユニットに「TAG Heuer」のバッチを付けてスポンサードするなど、モータースポーツへの積極的なアプローチもその人気の秘密なのかもしれません。
とはいえ、高い実用性と美しいデザインセンスも併せ持つタグ・ホイヤーも腕時計という性質上、メンテナンスフリー、トラブルフリーという訳にはいきません。今回は、そんなタグ・ホイヤーに多いトラブルとその交換部品とその費用、さらにタグ・ホイヤーを含めた時計一般での注意したい事をまとめています。
目次
タグ・ホイヤーに多いトラブルの対応部品とその概算
時間が遅れる
● ゼンマイ:3,000円~5,000円
● 切替車:4,000円~6,000円
タグ・ホイヤーの自動巻きモデルに多いオーバーホール依頼としては「時計が遅れる」というのが、最も多いその理由となります。この「時計が遅れる」原因は、ムーブメント内の油切れが典型的な症状となりますが、このような状態のムーブメントでは部品の劣化に伴って、交換部品が発生する場合が多くみられるようです。
自動巻機構の動力源である「ゼンマイ」は、定期的な交換が推奨されている消耗部品ということもあって、タグ・ホイヤー各自動巻きモデルでは定番の部品交換対応です。また、この「ゼンマイ」にローターの回転力を伝える「切替車」の劣化が多くのモデルで見られるのもタグ・ホイヤーの特徴のようです。
クオーツなのに時計が進む
● 電子回路:6,000円~15,000円
タグ・ホイヤーは多くのクオーツモデルも存在しますが、そんなクオーツモデルに多いオーバーホール依頼は「時計が進む」ことでの依頼です。自動巻きモデルのほとんどが極端な進みの原因は「ゼンマイの絡みつき」を原因とするものですが、クオーツモデルのそれは電子回路の異常が原因となります。
この電子回路不良での交換対応は、部品の生産が終了している機械については、後継機の部品を使用することの了承を求められることになります。
カレンダー送りの不具合
● 日送り車:4,000円~6,000円
無知や不注意から起こる典型的な機械トラブルが「カレンダーが動かない」ということです。手動で無理にカレンダーを切り替えると、歯車が折れることがよくあります。その場合の多くがカレンダーの日付を切り替える「日送り車」の欠けです。
トラブルを未然に防ぐための注意事
1日8~10時間は着用する
自動巻きの時計は、内蔵されたローターが腕の動きで回転することでゼンマイを巻き上げる仕組みです。ゼンマイの巻き上げ不足による駆動力不足を防ぐことで、時計の遅れなどの解消に役立つことがあります。
ゼンマイを巻き上げるためには、最低でも1日に8~10時間は着用したいものです。また、デスクワークなどで腕の動きが少ないと時計を駆動させるための十分な動力が得られずに精度が乱れたり、止まってしまうことがあります。とはいえ、大幅な駆動時間の低下は典型的なオーバーホール時期の症状となります。
スマホやパソコンから遠ざける
時計を外す際にスマホやパソコンの上や近くに置くのは「磁気帯び」の原因となります。機械式時計はそのほとんどの部品が金属で出来ています。「磁気帯び」すると精度に影響が出ることがあります。磁気を帯びてしまった時計は自然には戻りません。
カレンダー操作禁止時間帯がある
機械式時計には「カレンダー操作禁止時間帯」というものがあります。午後8時から午前4時の間はカレンダー送りをしてはいけません。この時間帯は、カレンダー板の歯車と時間表示の歯車が噛み合っていますので、無理なカレンダー送りは「日送り車」の破損の原因となることがあります。
カレンダー送りをする時は上記の時間帯を避けて行うことが良いでしょう。また、針を時計回りに進めて日付を変える方法もおすすめです。
まとめ
タグ・ホイヤーは多くのスポーツとの関りを背景にしてスポーツウオッチとして地位を確立した時計ブランドとなっています。また、実用的で機能的なデザインも多くの時計ファンに認知された時計ブランドともなっています。
今回は、タグ・ホイヤーの時計修理・オーバーホールを扱う民間の時計修理専門店の依頼に多いタグ・ホイヤーのトラブルと、その対応部品の概算についてお伝えしてみましたが参考になったでしょうか。
タグ・ホイヤーはご存知のように、時計メンテナンスでのメーカー対応に価格差を設けていることもあって、多くのタグ・ホイヤーユーザーから疑問符が投げかけられる時計ブランドともなっています。
定期的なメンテナンスを行うことで最良なタグ・ホイヤーのコンディションを保つためにも、高額な費用を伴うメーカー以外でのメンテナンス対応を検討されてみても良いかもしれません。
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