時計の修理・オーバーホールのその依頼先は、その時計ブランドのメーカー対応または時計修理専門店等を利用する2つの依頼先がその選択肢となるでしょう。

この2つの時計修理・オーバーホールの依頼先にはサービスや価格の違いはあっても、その時計修理・オーバーホールの手順や方法には違いはありません。

また、多くのメーカー出身時計技術者が在籍するような昨今の時計修理専門店であれば尚更、メーカーとの技術的な違いを見つけることも難しいかもしれません。

しかし、そんな時計修理専門店であっても時計修理・オーバーホールの依頼をお断りしなければならない場合があります。

時計修理・オーバーホールをお断りするたった1つの理由は「純正部品」の入手が困難な場合だけ!

時計修理・オーバーホールは、その依頼先がメーカーであっても時計修理専門店であっても、部品交換発生時に使用される部品はすべてその時計メーカー指定の「純正部品」を使用して修理・交換が行われます。

この「純正部品」の入手が困難なブランドやモデルによっては、時計修理専門店でのその引き受けをお断りするしかありません。この場合のほとんどで、そのメーカー独自の自社ムーブメントを搭載したモデルがそれに当てはまります。

特に、この「自社ムーブメント」を一部のモデルに採用しているような時計ブランドは部品の流通を行いません。また、このような時計ブランドは購入先の違いだけの「正規品」と「並行品」との間に、大幅なメンテナンス価格差を設けているのも特徴の1つです。

したがって時計修理専門店では、こういったブランドの自社ムーブメント搭載モデルの修理・オーバーホールの引き受けが行えない状況となっています。但し、多くの時計修理専門店では部品交換を伴わない定期オーバーホールではその限りではないようです。

時計修理専門店で引き受けが難しい時計ブランドとキャリパー№

  • ブライトリング・・・Cal.01、Cal.B14、Cal.B35、Cal.B06
  • タグ・ホイヤー・・・Cal.1887、ホイヤー01

元々、時計の心臓部である「ムーブメント」は、その時計メーカーが独自で開発・製造しているわけではありません。多くの時計メーカーが「ムーブメント」を仕入れて、多少手を加えて製品化しています。この「ムーブメント」のほとんどが「ETA社」が製造しているムーブメントとなっていました。

ですが、このETA社が2010年以降グループ(スウォッチグループ)外へのムーブメント供給を制限するとの発表以来、ETA社のムーブメントを搭載していた「ブライトリング」や「タグ・ホイヤー」をはじめとする多くの時計メーカーでは、自社ムーブメント開発を迫られた経緯がありました。

そういった経緯を踏まえて開発・製造された自社ムーブメントであるが故に、その部品流通を行わないことを背景として、大幅なメンテナンス価格差を設けて「正規品」の保護に乗り出したのも理解できるところではないでしょうか。

一方で、高級時計の代名詞ともなっている「ロレックス」では、そのすべてに自社ムーブメントが採用されていますが、「正規品」と「並行品」との差別もなければ「正規店」経由での部品の流通も行っています。

まとめ:メーカーと時計修理専門店を上手に利用する!

今回は、時計修理専門店での時計修理・オーバーホールの引き受けをお断りする、たった1つの理由をご紹介してみましたが参考になったでしょうか。

あなたのその時計は定期的なメンテナンスを行うことが、最も最良なコンディションを維持するため方法に変わりはありません。とはいえ、そのコンディションを保つためにも、コストカットが必要な場合もあるのではと思います。

そのためにも部品交換の有無であったり、定期メンテナンスであったりといった場合には、メーカーと時計修理専門店とを上手に利用するのも、その方法の1つになるのではないかと思います。